赤ちゃんが生まれ、喜びとともに新しい生活が始まる出産後。しかし、お母さんの体はまだ回復途中であり、特に出産から6〜8週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれるとても大切な時期です。この時期に無理をしてしまうと、長期的な体調不良やメンタル面での不調につながる可能性も。今回は、産褥期に起こる体調の変化と注意すべき点、そして無理せず過ごすためのコツをご紹介します。
産褥期とは?
産褥期とは、出産後に妊娠・分娩で変化した体が元の状態に戻っていく期間のことです。通常は出産から約6〜8週間とされており、子宮が元の大きさに戻る、ホルモンバランスが整う、心身の機能が徐々に回復するといった変化が見られます。
産褥期に起こる体の変化
- 子宮の収縮:出産後は大きくなった子宮が元に戻る過程で「後陣痛」と呼ばれる痛みを感じることがあります
- 悪露(おろ):子宮から排出される血液や粘液が数週間続きます
- 母乳の分泌:産後2〜3日で本格的に母乳が出始め、胸が張ったり痛みを感じることも
- ホルモンバランスの変化:出産後は急激なホルモン変化により、気分の浮き沈みや産後うつのリスクが高まります
注意すべき症状
- 高熱や悪寒:感染症の兆候の可能性があるため、早めに受診を
- 悪露の悪化:量が急増したり、臭いが強くなる場合も医師に相談を
- 気分の落ち込みが続く:産後うつの可能性もあるため、一人で抱え込まないこと
- 強い腹痛・頭痛:血圧異常や子宮の異常が隠れているケースも
無理せず過ごすためのコツ
1. とにかく休む
- 家事よりも体を優先。眠れるときに眠ることが回復のカギ
- できれば周囲に家事や育児のサポートをお願いする
2. 栄養バランスのとれた食事を
- 体力回復や母乳育児のためにも、鉄分・たんぱく質・ビタミンを意識した食事を
- 食欲がないときはスープやお粥など消化に良いものを
3. 体を冷やさない
- 産後は冷えに敏感。靴下・腹巻・ブランケットなどを活用
4. 身体に優しい運動を少しずつ
- 産後2〜3週目以降、医師の許可を得てから軽いストレッチや深呼吸を
5. メンタルケアも大切に
- 不安や孤独感が強いときは、家族や助産師、自治体の相談窓口に相談
- SNSや地域の育児サークルで交流するのも心の支えに
まとめ
産褥期は、体と心が大きく揺れ動く非常にデリケートな時期です。「赤ちゃんが生まれたから頑張らなくちゃ」と無理をせず、まずは自分を大切にすることが何よりも重要です。周囲の協力を得ながら、少しずつ回復への道を歩んでいきましょう。焦らず、自分のペースで、心と体に優しく過ごしてください。