妊娠中は免疫力が一時的に低下しやすく、感染症にかかるリスクが高まります。しかもその影響は母体だけでなく、お腹の赤ちゃんにも及ぶ可能性があるため、事前の予防や早期の対応が非常に重要です。今回は、妊婦さんが特に気を付けたい感染症と、対応するワクチンや予防方法について、わかりやすくご紹介します。
妊娠中に注意すべき主な感染症
1. インフルエンザ
- 感染時期:秋〜冬に流行
- 影響:高熱が続くと流産や早産のリスクが高まる
- 予防法:ワクチン接種(妊娠中でも安全)+マスク・手洗い・人混みを避ける
2. 風疹(妊娠初期に最も危険)
- 感染時期:通年(特に春〜初夏)
- 影響:胎児に先天性風疹症候群(聴力障害・心疾患・白内障など)を引き起こす可能性
- 予防法:妊娠前に風疹ワクチン(MRワクチン)を接種。妊娠中は接種不可のため周囲の家族の予防も重要
3. トキソプラズマ症
- 感染経路:加熱不十分な肉や猫の糞など
- 影響:胎児の脳・眼・発育に障害が生じるリスク
- 予防法:猫のトイレ掃除は他人に任せる、生肉を避ける、しっかり加熱調理する
4. リステリア症
- 感染経路:ナチュラルチーズ・スモークサーモン・生ハムなど
- 影響:早産・流産・新生児敗血症の原因になることも
- 予防法:生ものや輸入食品を避け、食材の衛生管理を徹底する
5. B型肝炎・C型肝炎・HIV
- 感染経路:血液・性行為・母子感染
- 予防・対処:妊婦健診でのスクリーニング検査が実施されており、陽性の場合は出産時の医療体制が整えられます
妊娠中に受けられるワクチンとは?
接種可能なワクチン
- インフルエンザワクチン:不活化ワクチンで妊娠中も安全。特に妊娠中期〜後期に推奨
- 新型コロナワクチン:妊娠後期の重症化予防に効果あり。mRNAワクチンは基本的に接種可能とされています
接種できないワクチン(生ワクチン)
- 風疹(MRワクチン):妊娠中の接種は禁忌。妊娠前に抗体検査→必要に応じて接種
- 麻疹・おたふく風邪・水痘:いずれも妊娠中の接種は避ける
自己防衛+周囲の協力が大切
妊婦さん本人ができる予防策に加え、パートナーや家族にもワクチン接種を勧めることが大切です。特に風疹やインフルエンザは家庭内感染のリスクも高く、周囲の配慮が妊娠の安全を守る鍵になります。
まとめ
妊娠中の感染症は、胎児にも影響を及ぼすことがあるため、正しい知識と事前の備えがとても大切です。自分と赤ちゃんを守るために、予防接種のタイミングや感染症リスクのある行動をしっかり理解し、医師と相談しながら安心できるマタニティライフを送りましょう。