妊娠中は「お腹の赤ちゃんへの影響が心配」と思い、薬の服用に慎重になる方が多いと思います。しかし、自己判断で薬や漢方を中止したり、逆に「自然由来だから大丈夫」と思って飲んでしまうのはとても危険です。この記事では、妊娠中に避けるべき薬や漢方、そして安心して妊娠期を過ごすためのポイントを解説します。
なぜ妊娠中の薬や漢方に注意が必要なのか?
妊娠中はホルモンや体内の代謝が大きく変化しており、薬の影響が母体だけでなく胎児にも及びやすくなっています。特に妊娠初期(4〜12週頃)は、胎児の臓器が形成される大事な時期で、外部からの影響を最も受けやすい「器官形成期」と呼ばれます。
妊娠中に避けたい薬の一例
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):ロキソニン、イブプロフェンなどは胎児の動脈管収縮のリスクがある
- アミノグリコシド系抗生物質:例:ストレプトマイシン → 難聴のリスク
- テトラサイクリン系抗生物質:歯の形成異常、骨の発達への影響
- ビタミンA大量摂取:胎児の奇形のリスク(レチノイン酸含有のニキビ薬など)
- 抗けいれん薬・向精神薬:使用中止でリスクが上がるものもあるため、医師との相談が必須
市販薬の注意点
ドラッグストアで手軽に手に入る市販薬でも、妊娠中には避けるべき成分が含まれている場合があります。
- 風邪薬:総合感冒薬は複数成分が含まれており、妊娠中の服用は要注意
- 便秘薬:刺激性下剤(センノシド等)は子宮収縮を引き起こす可能性あり
- 眠気止め:カフェインや交感神経刺激薬を含む薬は控える
妊娠中の漢方薬のリスクと誤解
「漢方は自然なものだから安全」と思いがちですが、妊娠中には避けた方が良いものもあります。
避けたい代表的な漢方薬
- 大黄(だいおう):強い下剤作用あり → 流産・早産のリスク
- 附子(ぶし):強い刺激作用 → 子宮収縮の恐れ
- 甘草(かんぞう):大量摂取で偽アルドステロン症(高血圧・むくみ)
安全に服用するためにできること
- 妊娠がわかったらすぐにかかりつけ医に相談
- 自己判断で服薬を中止・開始しない
- 処方薬は「妊娠していること」を医師・薬剤師に伝える
- 市販薬・サプリも必ず医師に確認
- インターネットの情報は参考程度にし、公式情報を優先
医師や薬剤師との連携が安心につながる
薬や漢方の使用に関しては「使ってはいけない」ではなく、「使い方とタイミングが重要」です。自己判断ではなく、妊婦に詳しい医師や薬剤師に相談しながら対応していくことが、母体と赤ちゃんの健康を守ることにつながります。
まとめ
妊娠中は、普段は何気なく使っていた薬や漢方にも慎重になる必要があります。「自己判断しない」「何でも相談する」が大原則。困ったときは、かかりつけ医・産婦人科・薬局の薬剤師に相談しながら、安全で安心なマタニティライフを送っていきましょう。